恐怖・恐れ Fear

米国きょうだい支援プロジェクトのマイヤーさんは書籍の中で取り上げていませんが,オーストラリアのSiblings Australiaのケイト(Kate Strohm)さんや米国のメアリー(Mary McHugh)さんが取り上げているテーマに「怖れ Fear」があります。その一部はマイヤーさんは「心配 Worry」として取り上げている内容ですので,それらに関しては別のところに書きます。

・きょうだいは,障がいのある兄弟姉妹の安全について心配し,兄弟姉妹が死んでしまうのではないかと恐れていることがあります。特に入院というできごとが起きた際に,何が起きているのかきちんと説明されないとこの恐れは増幅します。

・きょうだいは,失敗することを極度に恐れていることがあります。親が落胆することを自分がしてしまったら親に見捨てられるという「見捨てられ不安」をもっていることもあります。

・障がいのある兄弟姉妹に暴力をふるうなど問題行動があると,きょうだいは自分の身の安全を守れないと恐怖を抱いていることがあります。悲しいことですが,幼い頃に障がいのある兄に暴力をふるわれ続け,親に訴えても事実を信じてもらえなかったという経験をもつ女性もいます。

・問題行動に加えて私がこの項目でいつもお話するのは,大事な物を(何度も)壊された経験をもつきょうだいのことです。この経験がもつ影響の大きさを的確に書いてくれているのは,『What About Me?』の著者の一人であるスチュアート(Stuart Silverstein)さんです。この本には,障がいのある兄によって自分の洋服を引き裂かれても,不満や怒りを表現することを許されなかった妹さんの話が書かれています。

・きょうだいがこれらの恐れの感情をもっていても,話せる場がないことのほうが多いのです。被害や危害を被っても,それを黙って耐えるしかなかった経験をもつきょうだいもいるのです。


・今きょうだい児を育てている親御さんに伝えたいことは,次の5つです。
障がいや病気に関する年齢に応じた情報を伝え,恐れが増幅しないようにする。
きょうだいのトライ・アンド・エラーを認める。
きょうだいの逃げ場をつくる。安全な場所を確保する。
大事な物をしまっておける鍵付きの部屋や保管箱を用意する。
大事な物をしまっておかなかったきょうだいを責めるのではなく,大事な物を壊されたきょうだいの怒りを受けとめる。


参考文献;
Being The Other One: Growing Up With A Brother Or Sister Who Has Special Needs by Kate Strohm (21-24p,54-56p)
Special Siblings by Mary McHugh (18, 121-122p)
What About Me? Growing Up with a Developmentally Disabled Sibling by Bryna Siegel and Stuart Silverstein (11-16p)